【保育】ねえ、せんせい・・・
特別支援員として働いていると、
一斉保育の時間に「ねえ、せんせい…」と小声で呼ばれる機会がとても多い。
小声で呼んできているということは、進行をしている担任には言いづらいことなのだ。
その子に向けて声は出さず、「OK、わかった、今聞く」という意志を込めて
大きく頷く。
わたしが動くことで気が散る子にそっと声をかけながら、呼んできた子に
「どうした?」と小さな声で問いかけた。
「さっきまで遊んでいたガチャガチャのカップ、外に置いてきちゃった…」
ととても困った顔で言うその子。
「そうか、それがないことに気づいて、困っているんだね?」と問い直すと、
今にも泣きそうな顔で小さく頷くその子。
「わかった。今はおあつまりの時間で外には出られない。だから、おあつまりが終わったら、給食の準備をする前にすぐに外からカップを取っておいで」
と伝えると、渋々といった様子だったが、頷いた。
一斉保育の時間、実はいろいろな「困った」がそれぞれのこどもたちの中で起きている。
「寒い」
「暑い」
「眩しい」
「飛んでいる虫が気になる」
「身体の調子が少し悪い」
「友達との喧嘩をひきずっている」
など。
そして、それを言い出せないことも多い。
担任は進行する役割があるので、その困りごとに気づいたとしても、
ひとつひとつ丁寧に相手にすることはない。
言ってもいいタイミング(担任が聞けるタイミング)や、内容があるのだ。
これはとても難しい。
そして支援を必要とする子どもは、その采配が苦手なことが多い。
例えば、おあつまりの最中に
「ねー!!せんせー!!!さっき〇〇くんと喧嘩して叩かれた〜!」
と言っても、
「今は聞けないよ」
と言われてしまうことになるが、
「せんせー!!さっき〇〇くんに叩かれたところから血が出てる!!」
という訴えならば、いくら大切な話の最中だったとしてもすぐに言ってよしという内容で
すぐに対応してもらえる。
難しいのである。
ルールというものはなく、実に曖昧なのだ。
そこで「ちょっと困っていることがあるんだけど、言ってもいいのかな」
と思うことを言える(言いやすい)相手が支援員の私でもある。
「せんせー・・・」と小声で呼ばれることもあれば、
小さく手招きされることもある。
いろいろな理由で呼ばれる。
「おあつまり、つまんない」という理由で呼ばれたこともある(笑)
そこで何を伝えるか、
どんな関わりをするか、
いちいち混乱するし、難しいのだけれど、
本当に面白いなぁと思うこの仕事だ。